西荻窪の部屋
西荻窪の部屋
戦後量産されたどこにでもある2DKタイプの集合住宅の一室の改修である。
間仕切壁を取り払い、収納を兼ねた400mm角の「柱のようなもの」を部屋の中心に据えた。柱は支えるという構造的な役割だけではなく、その周りの環境によって様々な性質を持っている。公園にポツンとある一本の樹木が居場所を生み出していたり、路地の真ん中に置かれた一本のカラーコーンが空間を隔てていたりするように。
間仕切壁が無くなった部屋には風が通りぬけ、水面に入れた指先が波紋をつくるように、中心に立つ柱の周囲に空間の淀みが生まれる。艶のある床面から柔らかく反射した自然光は、築40年以上の粗く質感のあるコンクリートと新たにつくられた白いクロス・タイルの対比の中で、その壁や天井にゆらいでいる。
東京にある35㎡の小さなマンションの一室で刻一刻と遷り変る光や風を感じ、外部の大きな自然を再経験できる居場所になることを期待した。
Photo: OFFICE YUKI KONKO
©OFFICE YUKI KONKO