HOUSE T
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〈 覆いのなかの積層街路 〉
建蔽率60%の100㎡程の敷地に計画される8人家族の住宅は、自然と建築面積一杯に床が積層された箱から出発することになった。箱は4層の床面をもつ直方体(短辺6m×長辺10m×高さ10m)である。そこに地形、敷地の形状、方位や諸々の機能的要求といった具体的で現実的な事柄を重ね合わせたとき、ズレや対立が生じる。それらが要請する変化をどう見定めてゆくかが設計の主題であった。その時/その場所の現実との応答によって、固有のざわめきを建築の内外に求めながら、同時に住まいをひとつにつなぎとめる覆いとして、直方体とその架構の元形は残響のように全体に行き渡っていてほしい。
道路に接地した車庫の幅は具体的な車両サイズで決まり、それにより圧迫された玄関の寸法を確保するためコンクリート打放しの土留め壁は外側に振られた。この斜めの壁に沿って半階分の階段がとりつき、土の高さを感じながら地中を抜けるように上階へ上がっていく。階段を上った1階には10m×6mの南北に開かれた筒状の広間がある。床の半分は元の地形をなぞりながら裏庭をつなぎとめ、もう半分の床面は車庫の必要高さによって床面が450ミリ上がっている。ズレた2枚の床面の上部には平滑で漆喰の艶のある天井面があり、南北の連窓から拡散光が滑り込み、大きな空積全体が外の光と連動し、明るくなったり陰ったりして、8人が集う広場の空になっている。螺旋階段を上がった2階は天窓のある洗面コーナーを中央に据えた対称形平面をとるが、北側の吹き抜けでは、地階で斜めに振られた外壁が上階まで立ち上がって、その場所に螺旋階段が納まり、下から光がぼんやり湧きあがる光溜まりになっている。一方、南側の直階段からは上から光が滑り降り、絞られた光が路地のようにあらぬところから入ってくる。都会的な外部をという要望から、最上階には直方体の一部を削り取りできたテラスがある。隣地の屋根の上にあり、谷の両側のお寺と公園の緑を望むことができ、街の展望台のように、この辺り一体の大きな地形を感じとることができる。
構想上の直方体と現実との重ね合わせによってうまれる変化を、設計過程のなかで都度見定め応じていった。ここでは、前面道路から、地中を抜け、広場があり、路地を抜け、空に開かれた展望台へと辿る、積層した街路のような連続が、ひとつの住まいの覆いのなかにうまれたように思う。
Total floor area: 199.42 m2
Architect: Office yuki konko
Structual engineer: Eizensha
Contractor: Eishin kensetsu
Real estate consultant: Souzou-Kei Real Estate
Photo: Hiroshi Ueda
©OFFICE YUKI KONKO